LIVE② SESSION — WEEKLY GOLD REPORT v5.8p — PRESENTATION

2026年の金は、厳しい— 上昇は2026末〜2027へずれる。引き金は「停戦か激化か」ではなくFRBの利下げ転換

今週(5/19→5/29)、世界のマネーは金ではなく株へ動いた。原油急落・円安・リスクオンという逆風下で金が沈黙した理由を解く。結論として2026年の金は$4,500前後の踊り場が続き、むしろ厳しい。本格的な上昇相への移行は2026年9〜12月の分岐帯を経て、FRBの利下げ転換が起きる2026末〜2027前半。確定データと見立てを分けて提示する。

GOLD (5/29)
+1.3%
月初来 -1.6% / 200日線 +2.5%上で粘る
TRIGGER TIMING
2026末〜27
分岐帯(2026年9〜12月)→FRB利下げ転換で着火
WTI 原油
-18.9%
今週 $107→$87 / すべての起点(停戦期待)
DATE
2026.05.30
DATA THROUGH
2026.05.29
SOURCE
Investing.com / FRED / WGC / CME
VERSION
v5.8p — プレゼン版

結論を先に — 2026年の金は厳しい。本格上昇は2026末〜2027

金は「上がる材料を欠くが、下値は中銀買いが支える」膠着のレンジにある。停戦・激化のどちらも上昇の引き金にはならない。本格的な上昇相への移行は、景気の構造的変調を市場が織り込み、FRBが利下げに転換する2026末〜2027前半。それまでは$4,500前後の踊り場が基本線。

いま — 下値の構造軸
200日線

FedWatchタカ派化・円安・リスクオンの逆風下でも、金は200日線を割らず +2.5%上で粘る。価格を見ずに買う中銀(2026 Q1で純244トン)が支える構造的フロア。だが「下がりにくい」だけで「上がる」ではない。

引き金 — 激化≠金買い
秋〜年末

金が上がるにはドル安が要る。停戦でも激化でもドル安は起きない(激化はむしろドル高、金 vs DXY=-0.78)。残る経路は景気後退・利下げ催促のみ。その入口はCPI真水が表面化する秋。

時期 — 着火
2026末〜27

2026年9〜12月の分岐帯を経て、FRB(ウォーシュ)の利下げ転換が起きる局面で金は着火・急騰。2028年は$7,000前後を共通の終着点に置く。

本資料の核心: 金は「投機対象」ではなく「200日MA軸の上で多極化世界の中銀が買い続ける資産」。短期の振幅は長期トレンド上の表面的な動き。上昇のトリガーは停戦/激化ではなく、景気変調をいつ市場が織り込むかであり、その主軸はFRBの実質金利

今週の値動きは「リスクオンの高熱」。金の沈黙はその体温計

原油急落(停戦期待で-19%)を起点に、安全資産=金が一服し、成長資産=株(日米)へマネーが流れ込んだ。金は逆風下でも200日線を割らなかった。ここは中長期の前提として押さえる短期の背景であり、本論は§以降の「今後どうなるか」にある。

① マネーは金ではなく株へ動いた(原油が起点)

WTIが$107→$87へ急落(米イラン停戦延長合意の織り込み)。インフレ警戒が和らぎ金利が低下、リスクオンが点火。日経は月初来+11.5%とNASDAQ+7.4%を約4pt上回ったが、これは円安・高市政権の安定・自社株買いという日本固有の上乗せが重なったため。金は+1.3%(月初来-1.6%)と沈黙した。

CHART 01 — WEEKLY ASSET MAP (MONTH-TO-DATE %) 月初来リターン — マネーは金ではなく株へ動いた 0% -10% -20% +10% +20% 日経平均+11.45% NASDAQ+7.40% S&P500+4.84% NYダウ+3.10% 金 XAU-1.64% WTI原油-14.30% 読み筋 原油の急落(最上流)がインフレ警戒を冷やし、 資金は安全資産(金)ではなく成長資産(株)へ。
CHART 01 — MONTH-TO-DATE RETURN MAP

② 円キャリーは「逆回転」ではなく「順流」が継続

日米金利差は縮んだがまだプラス。逆回転は金利差に比例せず、閾値を超えて一気に起きる。今の円安は①薄いが生きたキャリー②本邦の構造的外貨買い(NISA・生保)③リスクオンの三重奏で、逆ザヤ化か円高トレンドの起点が現れるまで順流が続く。火種が静かに溜まる段階であり、着火する段階ではない。

③ 金が上がらない意味=「上値が重い」のではなく「下値を中銀が支えている」

実質金利上昇・FedWatchタカ派化・円安という強い逆風下でも、金は200日線を割らず+2.5%上で粘った。中銀は安い水準でこそ買う(2026 Q1で純244トン)ため、200日線が構造的な床として機能する。逆風下の底堅さこそ今の金の姿だ。

CHART 02 — GOLD vs 200d MA (FLOOR FUNCTIONING) 直近1年 ─ 200日線がフロアとして機能 / 現在は+2.5%上で粘る CENTRAL BANK BUYING REGIME — 下抜け率 0.0% $3,000$3,500$4,000$4,500$5,000$5,500 2025-062025-092025-122026-012026-032026-05 高値圏 NOW 200日線 +2.5% GOLD 200d MA(中銀買いが支える床)
CHART 02 — GOLD vs 200d MA / LAST 12 MONTHS
短期の結論: 今の金は「上がれない」のではなく「下がらないように支えられている」局面。2025年までの継続的な上昇を前提に置くと判断を誤る。では、いつ・何をきっかけに上昇相へ移るのか — それを論じるのが以降の本論である。

5年の構造 — 200日MAが下値フロアとして機能してきた

過去5年の金価格と200日移動平均線。レジーム本格化(2023.12〜)以降、価格は200日MAを一度も明確に下抜けていない。これが「中央銀行が安いところを買う」構造的需要の現れ。ただしこの半年は高金利と金融市場の波で上値が抑えられ、200日MAの上昇角度自体が鈍化している点に注意したい。

金価格5年推移と200日移動平均線
CHART 01 — GOLD 5Y + STRUCTURAL FLOOR(出所:5/20 GOLDレポート)
位置づけ: この5年チャートが示すのは「下値の構造」。だが「下値が堅い」ことは「上がる」を意味しない。では右側(今後)はどう動くのか — その問いに、上昇のトリガーと時期(§05)、中長期3シナリオ(§5.5)で答える。

金が上昇相に入る引き金は「停戦か激化か」ではない。
唯一のトリガーは景気の構造的な変調であり、その時期は秋〜年末

問い:この先、金はどこで上がり始めるのか。停戦の崩壊は金の買い材料になるのか。
ANSWER
金は「上がる材料を欠くが、下値は中銀買いが支える」膠着のレンジにある。停戦・激化のどちらも上昇の引き金にはならない。むしろ激化はドル高を通じて金の重しになってきた。金が本格的な上昇相へ移るには景気の構造的変調(インフレ粘着下の需要後退)を市場が織り込む局面が必要で、その入口はCPIが表面化する2026年・秋〜年末。それまでの今年後半は、上値の重い状態が続く公算が大きい。

EVIDENCE 1 ── 「激化=金買い」は過去3か月の値動きに反する

開戦(2026年2月)以降、停戦観測と再緊迫が何度か往復したが、緊迫が強まった局面で実際に起きたのは「原油↑ → DXY↑(ドル高)→ 金は弱含み」だった。地政学リスクの高まりは、安全資産買いより先にドル高・インフレ警戒を通じて金を押し下げてきた。これは本資料の相関とも整合する(金 vs DXY=−0.78/直近1か月)。したがって「停戦が崩れたら金買いへ逆回し」という見方は、データの裏付けを欠く。

EVIDENCE 2 ── 金が上がるには「ドル安」が要る。その経路は今ない

論理の消去法
  • 金上昇には実質金利低下=ドル安が必要。だが足元はFedのタカ派傾斜(年内利上げ確率 45〜49%)でドルは下がりにくい。
  • 停戦でも激化でもドル安は起きていない(激化はむしろドル高)。残るドル安の経路は景気後退・利下げ催促のみ。
  • 開戦から3か月、その兆しは出ていない。リスク指標(金融ダッシュボード)はこの1〜2週、むしろ危機に鈍感化している=市場はまだ軟着陸を見ている。

EVIDENCE 3 ── 下値を支えるのは中銀。だが「2025年型の上昇」は期待できない

逆風下(FedWatchタカ派化・円安・リスクオン)でも金が200日線近傍を保つのは、価格を見ずに買う中銀の存在による(2026 Q1で純244トン/WGC)。これが構造的な下値。ただしこれは「下がりにくい」を意味するだけで、「上がる」を意味しない。2025年までの継続的な上昇を前提に置くと判断を誤る。短期はマージンコール時に200日線を一時的に割る場面もあり得る。

統合タイムライン ── CPI伝播が「金の時期」を決める

金が上昇相へ移る時期は、インフレの伝播スケジュール(CPI 3要素モデル v0.7)から逆算できる。上流ショック(原油高3か月)は時間差で下流へ伝播し、政策の蓋(補助金)が外れる秋に公式CPIへ表面化する。

CHART 03 — CPI TRANSMISSION TIMELINE → GOLD TRIGGER CPI伝播のスケジュール — 金が動く「時期」を逆算する 夏 6〜7月 「最後の静けさ」。食品値上げ本格化 (7月 2,269品目)。市場は軟着陸を織り込む 金:膠着・上値重い 上昇材料なし 秋 9〜10月 政策クサビ(補助金)剥落+食品転嫁で 公式CPI加速。真水 +6.1%〜+9.7% 金:株安の起点 第一段はマージンコールで金も下押し 年末〜2027 Fedが「インフレ退治」から「景気・ 財政優先」へ転換。実質金利が崩れる 金:独歩高(第二段) ドル安・実質金利低下で上昇相へ トリガーの本体 「停戦か激化か」ではなく、CPI真水の表面化を市場が織り込み、Fedの政策転換が視野に入る局面。原油の再騰・停戦不成立はこの伝播を強める方向に働く。
CHART 03 — CPI TRANSMISSION → GOLD TRIGGER TIMELINE
時期物価・政策で起きること金への含意

6〜7月
「最後の静けさ」。6/19の5月全国CPIで燃調反映が始動。食品値上げ本格化(7月 2,269品目)。市場はまだ停戦・軟着陸を織り込む。膠着。上値重い。
金の上昇材料なし。

9〜10月
政策クサビ(補助金)が剥落し、燃調ピーク+食品転嫁で公式CPIが加速。真水CPIは最頻②で+6.1%、③なら+9.7%。「利下げできない=景気が持たない」を市場が織り込み始める。株安の起点。
第一段はマージンコールで金も下押し。
年末〜
2027年
Fedが「インフレ退治」から「景気・財政優先」へ転換を迫られると市場が判断。実質金利が崩れる。ドル安・実質金利低下で
金の独歩高(第二段)へ。

※ CPIの真水ピーク・確率配分(②③D 各30%/④10%/①廃止)はCPI 3要素モデル v0.7の確定値。原油の再騰・停戦不成立はこの伝播を強める方向に働く。

補論 ── 6月FOMCの「トリム平均PCE」は10〜20%の一時的な戻し要因

基調は「重い」だが、唯一の短期上振れ材料が6月中旬FOMC。ウォーシュ新議長下で、Fedが重視指標をトリム平均PCE(トラス=Trimmed Mean PCE)へ寄せる可能性がある。トリム平均PCEは変動の大きい品目を刈り落とすためヘッドラインより粘着的で、足元のエネルギー高では跳ねにくい。これを採用すれば「インフレは(刈り込めば)思ったほど高くない」というハト派サインに使え、一時的なドル安・金の戻しを生み得る。

ただし基調は覆さない
  • 指標を変えても、秋口の真水インフレ加速という実体は消えない。「原油は下がった。物価は下がらない」(CPI v0.7)。
  • ウォーシュは伝統的にタカ派寄り。6月会合がむしろ利上げ方向に振れる可能性もある(スワップ市場の利上げ織込 77%)。
  • よって6月FOMCは「ハト派サプライズが出れば 10〜20% の確率で金が軽く戻す」イベントであり、トレンドの転換点ではない。
▶ 西村の見立て(未確定・確定データではない)

価格水準のイメージとして、秋〜年末の株安局面でマージンコールにより金は一旦 $3,500 近傍まで下押しする可能性。そこから反発し、2027年にかけて $6,000 → $7,000 へ向かう、という長期の絵を想定。

※ 上記の価格水準は分析者の見立てであり、本資料の確定データ(200日MA軸・中銀買い・CPI真水ピーク・各相関)とは性質が異なる。閾値・到達時期は次回以降の検証で確定する。トリガーの本体はあくまで「景気変調をいつ市場が織り込むか」であり、価格そのものの予言ではない。

※ 本結論の核心:金は「投機対象」ではなく「200日MA軸の上で多極化世界の中銀が買い続ける資産」。短期の振幅は長期上昇トレンド上の表面的な動きと捉える。判断は皆さま次第です。

相関は期間ごとにころころ変わる。
安定した支配指標が、ない。

1週2週1ヶ月2ヶ月全期間
ドル指数-0.64-0.58-0.76-0.63-0.44
WTI原油+0.71-0.12-0.48-0.41-0.25
ドル円-0.85-0.88-0.66-0.55-0.34
米10年-0.45-0.76-0.73-0.70-0.51
実質金利+0.52-0.21-0.49-0.51-0.39
期待インフレ+0.50-0.38-0.58-0.52-0.31
理論通り(逆相関)理論と逆(正相関・異常)数字=金リターンとの相関係数
金(正規化 3/2=100)と ドル指数・実質金利 の推移 ── 同じ向きにも逆向きにも動き、一定の連動を結ばない
8085909510010511011512012503/0203/1704/0104/1605/0105/1805/29
金 (XAU) ドル指数 実質金利

線形の右肩上がりにはならない。
2026年9〜12月の「分岐帯」を境に、利下げ転換で2026末〜2027前半に急騰する。

問い:5年チャートの200日MAを単純延長すれば滑らかな右肩上がりになる。だが本当にそう動くのか。2026後半〜2028はどう描くべきか。
ANSWER
単純な線形延長は「中銀買い=フロア」という構造軸だけを映した理想線にすぎない。現実は実質金利(=FRBの利上げ/利下げ)が主軸で、中銀買いは下値を補助する従属要因。この半年、金は地政学リスク(イラン・ホルムズ)が金融市場に踏ませた「ブレーキ」と高止まりする実質金利で、上値を抑えられてきた。よって現在〜2026年夏は$4,500前後の踊り場が基本線。そして2026年9〜12月を分岐帯と置く。上昇の着火にはFRBの利下げ転換=実質金利の低下が不可欠で、A・Cは2026末〜2027年2月、Bは急落の底(2027年1〜2月)を経て2027年1〜3月を起点に転換する。
ロジックの修正点(5/20レポートからの更新): 5/20の§7は200日MAを線形延長し、2027 $5,700/2028 $7,000へ滑らかに上がると描いた。だが①2026年Q1の中銀買いは244トンと堅調を確認済み(WGC 4/29公表)だが、原油高・地政学激化が本格化した足元Q2以降は未公表(四半期遅れ)で、しかもQ1内ですらロシア・トルコは売り越しに転じ「価格を見ず買い続ける」前提は一枚岩でなくなりつつある、②この半年の金は中銀買いより高金利・ドル高・マージンコールという「金融市場の波」に強く規定され、③その結果200日MAの上昇角度自体が昨年より鈍化している。だから「フロアは守られても、その上を滑らかに上がる」前提は弱い。金を動かす主軸はFRB。中銀買いは下値補助。この序列で描き直す。

3つのシナリオ(大分類)

A — MAIN ブレーキを踏まれたまま這う

地政学の不透明感(停戦はあっても終戦はない)が金融市場にブレーキを踏ませ続け、実質金利2%前後が1%台に落ちない。現在〜2026年夏:$4,500前後で這う(200日MAを割る場面もあり得る)。2026年9〜12月(分岐帯):原油$80定着でCPIが再加速する中、揉み合いながら方向を探る2026末〜2027年2月:ウォーシュFRBが「物価高は景気の強さではなく実態悪化」と認め利下げ転換 → ここで着火・爆上げ。その後2027年にかけて上昇し、2028年に$7,000前後へ。

B — DOWNSIDE マージンコールで一旦奈落、その後爆発

分岐帯(2026年9〜12月)以降、実体経済がはっきり悪化=スタグフレーションが表面化。金融市場が「景気後退」と認識し株安・リスクオフ → 売りが売りを呼びマージンコール → 金は2027年1〜2月にかけて$3,500前後まで急落(底)。その後2027年1〜3月を起点に、ウォーシュが利下げ転換を明言した瞬間、金は爆発しV字回復。A・Cより着火が2〜3ヶ月遅れ、かつ200日MAを明確に割り込むのが違い。

C — UPSIDE トリム平均PCEのハト派サプライズ

6月中旬FOMCでウォーシュがトリム平均PCE(トラス=Trimmed Mean PCE)を持ち出し、一時的にハト派サインを発信。ただし基調(高金利・地政学ブレーキ)は覆らないため、これは大きな跳ねではなく踊り場の水準に終始「+200ドルほど」薄く上乗せされる程度の控えめな上振れ。Aの這う水準($4,500前後)に対して$4,700前後で推移するイメージ。分岐点以降はAと同様、利下げ転換待ちで上昇に合流していく。メインではなくサプライズの位置づけ。

3シナリオの価格予想チャート

横軸2025〜2028。核心は分岐帯が「2026年9〜12月」にある点だ。現在(2026年5月末・$4,541)から分岐帯までは、3本がほぼ一体となって$4,500前後の踊り場を這う(200日MAを割る場面もあり得る)。分岐帯以降に明確に分かれる ── A・Cは2026末〜2027年2月を起点に利下げ転換で爆上げ(Cは終始+200ドルほど上を先行)、Bは2027年1〜2月にかけて$3,500へ急落(底)→2027年1〜3月起点に反発・爆上げ。共通の終着点として2028年は$7,000前後(200日MA延長の理想線に合流)を置く。「滑らかな坂」ではなく「踊り場 → 分岐 → 急騰」がメッセージだ。

CHART — 3 SCENARIOS (2026 H2 → 2028) 金価格 中長期3シナリオ — 踊り場を挟んで2028年 $7,000前後へ $3,000 $3,500 $4,000 $4,500 $5,000 $5,500 $6,000 $6,500 $7,000 2025 2026 2027 2028 2029 現在 (2026.5末) 分岐帯 2026年 9〜12月 ACTUAL 踊り場 分岐・急騰 200d MA(鈍化) $4,500前後 底 $3,500(2027年1〜2月) A・C 利下げ転換=爆上げ (2026末〜2027年2月) B 反発(2027年1〜3月起点) $4,541 A メイン(這う→着火) B 下振れ(マージンコール) C 上振れ(PCEサプライズ) 200d MA
CHART — 3 SCENARIOS / GOLD MID-LONG TERM
シナリオ現在〜分岐帯(踊り場)分岐帯(2026年9〜12月)以降着火(利下げ転換)2028年
A メイン$4,500前後で這う(200日MAを割る場面あり)揉み合い後に着火し爆上げ2026末〜2027年2月$7,000前後
B 下振れAと一体で這う2027年1〜2月に$3,500へ急落(底)→反発2027年1〜3月起点$7,000前後(合流)
C 上振れ踊り場に+200ドル乗せ$4,700前後Aと同様に爆上げ(やや先行)2026末〜2027年2月$7,000前後(合流)
▶ 西村の見立て(未確定・確定データではない)

3シナリオに共通する核心は「金の主軸はFRBの実質金利。中銀買いは下値補助」という序列。現在〜2026年夏は$4,500前後の踊り場(Cは+200ドル上)。2026年9〜12月の分岐帯を境に、A・Cは2026末〜2027年2月の利下げ転換で急騰、Bは一旦$3,500(2027年1〜2月の底)へ下押し後、2027年1〜3月起点に反発し、いずれも2027〜2028年に$7,000前後へ。上昇の主因はあくまで実質金利の低下=景気の構造的変調をFRB(ウォーシュ)が認める瞬間だ。

※ 上記の価格水準・時期はいずれも分析者の見立て(未確定)であり、本資料の確定データ(200日MA軸・各相関)とは性質が異なる。原油・CPI・FedWatch・雇用指標を継続監視し、着火の接近を自己検証する。

今後、何を見れば「踊り場の継続/反転・着火」が分かるか

ANSWER
リスクオンの土台は①原油安(停戦)②円安(円キャリー)の二本。この二本のどちらかが折れた瞬間が、円高・株安・金買いへの転換点になる。ただし金の本格上昇は、それとは別に§5の景気変調が織り込まれる秋〜年末が起点。

監視軸(5つ)

WATCH LIST
  • ① 原油(WTI)と停戦の行方:現在$87。停戦確定ならさらに下落(株に追い風/金に逆風)。交渉決裂・攻撃再開なら再騰(金に追い風・リスクオフ)。最上流の起点。
  • ② ドル円/円キャリー:159円台。円安継続ならリスクオン延長。円高転換は逆回転(円高・株安・金買い)の号砲
  • ③ FedWatch(年内利上げ確率):現在43〜49%。さらに上昇なら金に逆風・株にも重し。6/16-17のFOMCが山場(トリム平均PCEの扱いに注目)。
  • ④ 日経 vs 金のダイバージェンス:乖離が縮小(金が追いつく)に転じればリスクオン一服のサイン。
  • ⑤ 金と200日線の距離:現在+2.5%。+27%超なら過熱警戒、200日線接近なら中銀の買い場=下値の確認。
継続シナリオ:停戦進展円安継続 ▶ リスクオン延長(株高・金は横ばい)
反転シナリオ:停戦決裂 or 円キャリー逆回転円高・株安・金買い

金融ダッシュボードとの接続 — 信用は静かに、面で劣化している

信用サイドの週次ダッシュボード(5/29基準)では、危機ゾーン(4.0以上)に入る指標がCRE単独 → CRE・地方銀行・プライベートクレジットの3つへ面的に拡大。MMF(守りの現金)も増加している。株でリスクオンの一方、資金は静かに守りも固めている ── この「攻めと守りの同時進行」は、金が200日線の上で待機している姿と整合する。

体温計は高熱を示しつつ、次の冷え込みに備えている。そしてその冷え込み(景気変調)が織り込まれる秋〜年末こそが、金の本格上昇のトリガーになる。

三層構造の理解 — 投機ではなく構造資産

金市場は三層構造として理解できる。各層の役割を分けて見れば、博打ではなく構造分析になる。今週の「金の沈黙」も、上昇の「時期」も、この三層で位置づけられる。

LAYER 1 — 短期(日々〜週)
原油・DXY・FedWatch・円キャリー
今週の値動きを作った層。原油急落→リスクオン→金より株。円安(DXY高方向)と利上げ警戒が金の重し。金 vs DXY=-0.78がこの層の主役。短期はここを毎週追う。
LAYER 2 — 中期(3〜9ヶ月)
CPI伝播・Fed政策転換・6月FOMC(トリム平均PCE)
金の「時期」を決める層。原油高3か月の上流ショックが秋に公式CPIへ表面化し、Fedが「景気・財政優先」へ転換を迫られる。2026年・秋〜年末がトリガーゾーン。6月FOMCは10〜20%の一時的戻し要因。
LAYER 3 — 構造(年単位)
200日MA軸 = 中央銀行買い・脱ドル
短期変動を圧倒する構造軸。中銀は安い水準でこそ買い(2026 Q1で純244トン)、200日線を下値フロアとして機能させる。逆風下でも200日線を割らない底堅さはこの層の現れ。下値は堅いが、それ自体は「上がる」を意味しない。
FINAL QUESTION

「停戦の崩壊が金を上げる」のか、
「景気の構造的変調が金を上げる」のか。

過去3か月の実データは前者を否定し、後者を示唆している。停戦・激化はどちらもドル安を生まず、金の上昇の引き金にはならない。金が動く唯一のトリガーは、景気変調を市場が織り込む局面であり、その時期は秋〜年末

短期のDXY・FedWatch・円キャリーの変動は、200日MAの上昇トレンドの上での表面的な振幅に過ぎない。両方の層を見ることが、博打ではない投資判断の条件。

本資料の使い方:
・配信視聴中に手元で開きながら参照
・配信後は「200日MAと現在価格の乖離率」を毎週確認(乖離+27%超なら警戒・接近なら中銀の買い場)
原油・ドル円・FedWatch・CPIを継続監視し、秋〜年末のトリガー接近を自己検証
・予測の的中ではなく、構造を理解することが目的

金を「価格が上がる投機対象」として見るな。「200日MA軸の上で多極化世界の中央銀行が買い続ける資産」として見よ。短期の振幅は長期上昇トレンド上の表面的な動き。上昇の引き金は停戦/激化ではなく、景気の構造的変調。判断は皆さま次第です。

データと前提

本資料は2026年5月29日終値時点のデータに基づくマクロ分析。予測・シナリオ・見立ては分析者の見解であり将来を保証しない。投資判断は読者自身の責任で。

確定データと見立ての区別:本資料の確定データは「200日MA軸・中銀買い(WGC Q1 244トン)・CPI真水ピークと確率配分(CPI 3要素モデル v0.7)・各相関(金 vs DXY -0.78 等)」。一方、§5末尾の価格水準($3,500下押し→$6,000-7,000)は分析者の見立て(未確定)であり、確定データとは性質が異なる。閾値・到達時期は次回以降の検証で確定する。

データソース:金(XAU)・日経・TOPIX・NYダウ・NASDAQ・S&P500・米10年名目・DXY・ドル円・WTI原油=Investing.com 日次(〜5/29)。米実質金利・期待インフレ=FRED(〜5/28)。中銀買い=World Gold Council(2026 Q1 純244トン)。FedWatch=CME/各社報道(5/12〜5/28)。信用・AIダッシュボード=週次ダッシュボード(5/29基準、前回比は5/8確定値基準)。日本株要因・円キャリー・停戦・FOMC・CPI伝播=公開報道とCPI 3要素モデル v0.7に基づく著者整理。相関・乖離率・200日MAは終値からの自計算。