CRUDE OIL ─ THE REAL NUMBERS

原油輸入は前年比 ▲65.7%
なのに、なぜ生活は平時通りなのか。

原油輸入量(4月・供給)
▲65.7%
407万kL。1989年以降で最少。ホルムズ封鎖が直撃
実際に使えた量(4月・需要)
83%
前年比。削減はわずか▲17%。だから生活は回る
削減の主因(産業しわ寄せ)
▲37%
▲17%減の大半は石化原料。家庭向けはほぼ温存
カラクリ ① needs を絞る
全体 ▲17% 減らした分を、
石油化学(ナフサ)が被った
削減の主因はナフサ▲37%。家庭のガソリン・軽油はほぼ平時通り。だから「生活は平時通り」に見える → ②需要
カラクリ ② stock で埋める
輸入 ▲65.7% の不足を、
備蓄の取り崩しが埋めた
毎月17日分(約494万kL)の貯金を切り崩して供給。これが「平時通り」のもう一つの正体 → ③備蓄
だが、その貯金は無限ではない
このペースなら 7月中旬 に、
国際最低ライン IEA備蓄90日 へ到達する
=「節約のお願い」が物理的に避けられなくなる局面。本資料は、この危機までの距離を供給・需要・備蓄の3軸で検証する。
2026.05.30 時点 ホルムズ封鎖から3ヶ月 石油統計速報 4月分確定反映(5/29公表)
SECTION 01 ─ SUPPLY ① 供給 ─ 5月、代替ルートで原油は戻り始めた

見せたい結論はひとつ。4月に407万kLまで落ちた原油の物理供給が、5月は859万kLへ回復した。米国・中東バイパス(サウジ陸送)・南米ブラジルなどの代替ルートを、商社と政府が必死に確保した成果。だが、これで「平時に戻った」わけではない。

原油 物理供給(5月・暫定)
859 万kL
4月407から +111%。代替ルートで倍増
5月の前年比(暫定ベース)
▲27 %
前年5月1,184万kL比。4月の▲65.7%から大幅改善
代替ルート主力(5月)
米+南米
米国150・南米175・中東バイパス180が牽引
それでも平時(1,527)比
56 %
回復しても平時の約半分。差は備蓄で穴埋め
◆ 原油 調達ルート別 実績(万kL/月)─ 4月から5月への回復
タグ ─ 実測:確定・公式統計 / 追跡:船舶追跡・暫定 / 推定:TF言及・非公表。青網=5月に効いた代替ルート
調達ルート平時4月5月根拠・確認ソース
● 中東直行(ホルムズ経由)1,260060実測ホルムズ通航停止(5/6以降2隻/日,PortWatch)。封鎖継続で戻らず
○ 中東バイパス(サウジ/UAE陸送)110180追跡サウジ東西PL能力700万B/D。4/5フジャイラ初着。想定以上に稼働
○ 米国(湾岸)5080150追跡5月VLCC9隻=1,670万バレル(西山氏AIS)。喜望峰・パナマ経由
○ 南米(ブラジル等)1525175推定経産省TF・首相官邸5/25会見で言及。5月に急拡大
○ アフリカ(ナイジェリア等)1550推定読売5/27「6月は新たにアフリカからも調達めど」
○ 中央アジア(アゼル/カザフ)1525推定5/19アゼルバイジャン産が日本初到着
○ マレーシアSTS(湾内積替え)202110110追跡西山氏AIS 4隻確認。新規調達でなく在庫流動化=持続性低い
○ ロシア他(サハリン2)4550推定太陽石油サハリン2スポット購入。米財務省3/12容認
○ 製品輸入等3659追跡原油でなく石油製品(ナフサ・ガソリン等)
★ 原油 物理供給 合計1,527407859実測4月:石油統計速報5/29確定(▲65.7%)/5月:Bloomberg船舶追跡5/25暫定(▲27%)
+ ナフサ等 製品輸入(中東外)45168135実測米国産ナフサ前年比5倍(日経5/28)
★ 物理供給 計(原油+製品)1,572575994通関で実際に入った量。回復しても平時1,572には届かない

数値は財務省貿易統計・Bloomberg船舶追跡・経産省TF等による(4月は確定、5月はBloomberg船舶追跡ベースの暫定)。平時欄は原油換算の便宜表示(全石油液体の平時=BP統計)。

このセクションの結論 ─ 回復しても、構造は「備蓄頼み」のまま

5月の859万kLは確かな回復だ。だが本質はここ ── ホルムズ封鎖が続く限り、中東直行(平時の94%)はゼロのまま。代替ルートをどれだけ積んでも、物理供給が前年水準に戻ることはない。

つまり、平時1,572との差は埋まらない。その差を埋める手段は、ただ一つ ── 備蓄の取り崩ししかない。代替調達は「時間を稼ぐ」だけで、「解決」はしない。だから次に見るべきは、その備蓄があと何日もつか(→③)だ。

※注意:5月の859・南米175・アフリカ50などは船舶追跡・TF言及ベースの暫定値。STS(湾内積替え110)は新規調達でなく在庫流動化で持続性が低い。確報で下方修正の可能性あり。

SECTION 02 ─ DEMAND ② 需要 ─ 削られたのは「工場の原料」だった

平時の全石油消費 1,527万kL/月(BP統計2024実績)を用途別に分け、各用途が前年比で何%減ったかを当てはめて削減量を合算する。 分母(平時)も分子(積上)も同じ全石油ベースなので統計が整合し、結論がブレない。これが節約率の主軸。

2つの「物差し」を混同しない ─ ▲65.7% と ▲17% は別の数字

① 輸入の激減=▲65.7%(原油輸入407万kL ÷ 前年1,189万kL)。これは「外から入ってきた原油」の話。② 実際に使った量の減少=▲17%(実需要1,269万kL ÷ 平時1,527万kL)。この2つが大きく違うのは、足りない分を備蓄取り崩し(494)と通関外供給(約200)で埋めているから。

注意点 ── 供給側(通関=原油+製品)と需要側(BP全石油1,527)は数えている範囲が違う。需要側にはLPG・国際バンカー・精製ゲイン(合計約200万kL)が含まれ、これらは通関に出ない。だから通関575を単純に積み上げても1,527には届かない。この約200を供給源として正しく足し込むことで、実需要1,269=通関575+備蓄494+通関外200 が整合する。

新規に入った(通関)
575
原油407+製品168
船で新たに到着
+
備蓄の取り崩し
494
真の備蓄
貯金を切り崩し →③
+
通関外供給
約200
LPG・バンカー
精製ゲイン等
=
実際に使われた量
1,269
全石油・平時の83%
=需要▲17%後

平時1,527から引くのではなく、実需要1,269を積み上げるのが正しい見方。①の575は通関ベース、実需要1,269は全石油ベースで統計範囲が異なるため、通関外供給「約200」には民間在庫取崩しに加え統計範囲のズレ(LPG・国際バンカー・精製ゲイン)が含まれる。

◆ 用途別積上 ─ 4月実測 & 5月見込み
タグ ─ 実測:生産実績・公式統計(確報)/ 見込み:業界見通し / 推定:観察+類推(直接統計なし)
用途シェア平時4月
節約率
4月
削減
5月
節約率
節約率の根拠
ナフサ22.2%33937%12530%実測JPCAエチレン▲37%(稼働率67.3%・過去最低)。5/29速報でナフサ販売▲35.6%確定。5月はJPCA工藤会長「70%回復見込み」
ガソリン23.7%362▲7.5%27▲7.5%実測5/29速報で国内販売310.3万kL(前年比▲10.9%)確定。構造減少▲2-3%除く真水▲7.5%。補助金170円維持でも予防的節約
軽油18.3%2800%5%実測経産省統計「前年超え」+暫定税率廃止(4/1)+補助金。物流需要は底堅い
LPG・潤滑油・アスファルト等12.4%19035%6635%推定石化由来製品の連鎖減産から類推。直接の月次統計なし。要確報検証
灯油6.7%10310%108%実測経産省速報「前年比減」+季節要因(暖房端境期)
国際バンカー(船舶燃料)6.6%10015%1518%推定中東タンカー貿易の停滞で日本港の給油需要減と類推
A重油3.6%5515%12%推定経産省統計「前年比減」+産業稼働低下から類推
ジェット・国際航空・B/C重油6.5%8-10%小幅実測推定B/C重油は前年超え(在庫潤沢)。航空は中東迂回で微減
合計100%1,527▲17%258▲17%4月実需要=1,527−258=1,269万kL(83%)/5月=1,527−251=1,276万kL(84%)

5月削減:ナフサ102・LPG66・ガソリン27・国際バンカー18・軽油14ほか、合計251万kL。

POINT ─ 根拠の強さは正直に分けて示す

実測が付くのは ナフサ4月▲35.6%(5/29速報確定)、ガソリン▲10.9%(同)、軽油・B/C重油は前年超え。ここは確報レベルで動かない。一方 LPG・潤滑油35%は直接の月次統計がなく「推定」で、確報検証が必要。

結論の節約率17%は、最大セグメントのナフサ(実測▲35.6%)とガソリン(実測▲10.9%)が支えているため頑健。LPG等の推定部分は6月以降の確報で振れる可能性がある。この透明性を保つことが「数字がブレない」ことの担保。

SECTION 03 ─ STOCKPILE ③ 備蓄 ─ あと何日もつか

供給で物理的に入る原油は平時の3分の1。その差を埋めているのが国の備蓄の取り崩し。ここでは「真の備蓄=国家備蓄+産油国共同備蓄」(民間備蓄=運転在庫は除外)が何日分=何万kL残っているかを追う。 毎月17日分(約494万kL)ずつ減少し、7月中旬に国際最低ライン90日=2,583万kLに到達する。

5月末残(起点)
118
3,387万kL(5/17速報採用)
月次取り崩しペース
17 日/月
約494万kL。ガソリン▲7.5%反映後
IEA90日ライン到達
7 月中旬
90日=2,583万kL。あと28日分(804万kL)
28.7 vs 50.9 の罠
×1.78
政府基準(28.7万kL/日)は実体消費の1/1.78に過小評価
◆ 備蓄残の推移(日数 = 万kL)
IEA 90日ライン (2,583万kL) 152日 3月末 封鎖直後 4,362 135日 4月末 3,875 118日 5月末(現在) 3,387 90日 7月中旬 ★IEA最低ライン ▼17日 ▼17日 ▼同ペース
残(日数)残(万kL)取崩し状態・根拠
2月末(封鎖直前)1514,333実測資源エネ庁「石油備蓄の現況」。出発点
3月末(第1弾放出後)1524,362±0実測第1弾放出で日数維持。影響はまだ軽微
4月末1353,875▲494暫定17日分減。5/29速報で通関575確定・需要1,269に下方修正しペース見直し
5月末1183,387▲488暫定5/17速報118日を月末値採用。原油回復で17日分減ペース継続
7月中旬(予測)902,583同ペース★IEA加盟国の最低義務ライン到達。ここから「節約のお願い」が物理的に視野に。需要圧縮深化で2-3週後ろ倒し

万kL換算は 日数 × 28.7万kL/日(備蓄法基準)。実体消費(BP統計50.9万kL/日)で割ると同じ備蓄量でも日数は約1.78倍短くなる(118日→約66日相当)。本表は政府公式基準(28.7)で統一表示。

POINT ─ 「年越し可能」の正体は、この貯金の取り崩し

政府の「供給確保・年越し可能」は、物理供給575 + 備蓄取崩し494 を足せば当面の量は足りる、という意味。嘘ではない。

だが貯金は毎月17日分ずつ確実に減り、7月中旬にIEA最低ライン90日=2,583万kLに届く。そこから先は備蓄バッファが効かなくなり、需要の絞り込みを一段深める=「節約のお願い」が物理的に避けられない局面に入る。民間備蓄(81日分前後)は石油会社の運転在庫で「緊急時も容易に放出できない」ため、この90日カウントには含めていない。

SECTION 04 ─ SIMULATOR ④ 備蓄はいつ尽きるか ─ 前提を動かして検証する

5月末残118日(3,387万kL)を起点に、代替調達・節約率・中東直行回復カーブを動かすと、4シナリオの90日ライン到達・年末残がどう変わるか。掃海6ヶ月版(慎重)ベース。 まず「動かす前提」と「動かさない土台」を切り分けるのが、この試算の肝。

◆ 前提を動かす ─ 3つのレバー

① 代替調達+製品論点の核
780 万kL/月
最も効くレバー(±100で備蓄寿命±20日)。5/29速報で原油407+製品168=575(4月は代替立ち上がりの月)。5月実績は日量170万バレル≒原油810(政府見通し超)。サウジ・UAE陸送が想定以上。米国産は31と想定80より少ない。
② 節約率論点の核
17 %
平時全石油1,527に対する削減率。4月実績=17%(ナフサ▲35.6%・ガソリン▲10.9%が主因)。開放遅延(④+D=60%)前提なら17%維持が中心。20%超は政府の追加需要抑制=経済打撃(3要素モデル④に接続)。
③ 統計ギャップ根拠薄・割り切り
200 万kL/月
正確には測れないと最初から分かっている数字(LPG・精製ゲイン・バンカー)。4月実測で約200。150〜250で振っても結論(90日割れ・枯渇回避)は変わらない=重要度は低い。

◆ 数字の重要度を3階層に分ける

測れない数字に時間をかけても意味がない。固い数字・論点の核・割り切る数字を切り分け、根拠の強さを明示する。

① 固い数字信頼できる土台
備蓄残の起点=118日(3,387万kL)、取り崩しペース=月17日分(494万kL)。5/29速報確定でペースを月20日(旧)→月17日(新)に下方修正。資源エネ庁の日数実測と整合。通関の振れと無関係に確定。議論の土台はここ。
② 論点の核整合だけ取る
代替調達(感度最大)・節約率・開放時期×掃海。結論(90日割れ・枯渇の有無)を決めるのはこの3つ。スライダーで動かして議論する数字。
③ 割り切る数字深追いしない
ギャップ約200は正確に測れない(LPG・精製ゲイン・バンカー)。毎月だいたい200で固定。少々動いても結論を変えないので、ここで整合性を議論しない。
◆ 備蓄残の推移 ─ 「いつ90日を割り、いつ枯渇するか」
見たいのは2つの時点。①IEA90日ライン(2,583万kL)を割る時期、②本当に備蓄が尽きる時期。基本シナリオはD(解放なし)── まだ解放は宣言されていない。②④はいま交渉中の「希望」。
★ IEA 90日ライン(2,583万kL) 4,000 3,000 2,000 1,000 0 備蓄残(万kL) 5月末 7月 9月 11月 翌1月 翌3月 7月中旬:90日割れ 12月頃:D枯渇 5月末 118日 (3,387)
D 解放なし (30%) ─ 基本シナリオ・12月頃に枯渇 ④9末開放 (30%) ③7末 (10%) ②6末開放 (30%)

このグラフの読み方 ─ 「年内は大丈夫」は条件付き

政府は「年内は供給を確保できる」と言う。だがそれは②④のように夏〜秋に解放(掃海開始)が起きた場合の話。まだ解放は宣言されていないため、いま現実に進行しているのは紫のD(解放なし)だ。

Dを延長すると、7月中旬にIEA90日ラインを割り、12月頃には備蓄そのものが尽きる。②④(赤・青)は、その破滅を回避するために交渉している「希望のシナリオ」にすぎない。下振れ(④+D)の確率は合計60%

前提:シナリオ確率と計算式

物理開放時期ベース(西村校正 5/28):②6月末開放=30% / ③7月末=10% / ④9月末=30% / D解放なし=30%(①5月末=0%)。「開放」は停戦合意ではなく、機雷掃海が始まり中東直行が物理的に戻り始める時期を指す。

計算式:取り崩し=実需要−物理供給(代替調達+製品+中東直行)。実需要=平時1,527×(1−節約率)。マイナス時は取り崩しゼロ(余剰は積み増さず据え置き=保守的)。基準取り崩しは実績(月17日分=494万kL)と整合。

APPENDIX ─ METHODOLOGY 根拠・考え方・計算方法

以下は2カラクリと試算を支える分析の詳細。プレゼン本体の補足として、数値の出所と計算ロジックを参照用に残す。

A ─ 2つの軸を厳密に分ける(混ぜると数字が動く)

需要軸(カラクリ①/節約率):「平時に対して何%絞られたか」を出す主軸。用途別10セグメントの節約率を積み上げる。分母(平時1,527)も分子(積上)も同じ全石油ベースなので統計が整合し、結論がブレない。

供給軸(カラクリ②/枯渇時期):「あと何日もつか」を出す。備蓄取り崩しのペースから算出。これは需要軸からは出てこない数字。通関の物理供給(原油407+製品168等)は参考のみ。LPG・国際バンカー・精製ゲインを含まず平時1,527と範囲がズレるため、これで割って節約率を出すことはしない。

B ─ 「平時1,527万kL/月」の出所(動かさない基準)

BP統計(Energy Institute "Statistical Review of World Energy" 2024年実績)。日本の全石油液体消費 3.14〜3.20百万バレル/日 × 0.159 kL/バレル × 30日 ≒ 1,527万kL/月。国際航空・国際海運バンカー・精製ロス・LPG等を含む全石油液体ベース(バイオ燃料除く)。プロジェクトの根幹主張「政府の備蓄日数算定(分母180万B/D=28.7万kL/日)は実体(320万B/D=50.9万kL/日)の1/1.78に過小評価」を支えるため、この値は変更不可。

C ─ 備蓄取り崩しの計算(供給軸)

「真の備蓄」= 国家備蓄 + 産油国共同備蓄(民間備蓄=運転在庫は岩瀬昇氏の指摘により除外)。取り崩し量 =(期初日数 − 期末日数)× 28.7万kL/日(備蓄法基準)。

4月: 152日→135日(▲17日)= 取り崩し494万kL、月末残3,875万kL / 5月: 135日→118日(▲17日)= 488万kL、月末残3,387万kL。IEA90日ライン(2,583万kL)到達 = 7月中旬(5月末118日からあと28日分=804万kL、月17日ペースで約1.6ヶ月後)。

D ─ 採用した式(5/29一次データで再検証済み)

備蓄取り崩し = 全石油需要 − 通関供給 − ギャップ

4月で答え合わせ:1,269(需要・ガソリン▲7.5%反映)− 575(通関・5/29速報)− 200(ギャップ)= 494 = 取り崩し17日/月。需要を賄う供給源は3つ:①通関輸入 ②ギャップ分(LPG・精製ゲイン等の実在供給 約200)③備蓄取り崩し。①②で足りない分だけ③を取り崩す。取り崩しペースが旧20日/月→新17日/月に下方修正されたため、90日割れタイミングが6月末〜7月初→7月中旬に2-3週間後ろ倒し。

E ─ 統計ギャップ約200の正体(物理の穴ではなく「物差しの違い」)

需要を測る物差し(BP統計=全石油1,527)と供給を測る物差し(財務省通関=原油+製品)は数えている範囲が違う。ギャップの中身:精製ゲイン約50(製油所で体積増)/ LPG約80(別ルート輸入・単位トン)/ 国際バンカー約100(日本港で外航船に給油し国外へ)/ 国際航空他約27。結論:ギャップは謎の石油ではない。LPG・精製ゲインは実際に供給されているため、「需要−通関」を単純に引くと実在の供給分まで「備蓄で賄った」ことになり取り崩しを過大評価する。だから需要軸の積上(分母と同じ全石油ベース)を主軸にし、通関逆算は参考に留める。

F ─ 自己反論の記録(一度間違えた主張と訂正)

最初の主張(ボツ):「4-5月の574ペースを基準に中東直行回復分を引く」→ 4月の代替調達は実際には400万kLしかなかった。574を基準にするのは代替調達400の数字を720の世界で使い回す誤り=二重の過小評価。破棄。

次の主張(言い過ぎ):「引き算はダメ」→ 引き算はダメではない。ギャップを引けば実測と一致する。引き算が過大になるのはギャップを引かないからで、引けば正しい。

5/30確定:5/29速報でガソリン▲10.9%・通関575が確定。需要1,269・取り崩し494/月へ全体下方修正。「補助金で家計は守られる」は半分嘘で、家計はガソリンも▲7.5%(構造減少除く)削っていた。式は不変、入力値が一次データで修正された。

G ─ 追える数値 / 追えない数値

LPG:日本LPガス協会の需給月報で月次追跡可(単位トン・係数約1.85必要)。国際バンカー:石油連盟「ボンド扱石油製品」で月次追跡可(封鎖で変動大)。精製ゲイン:月次の独立統計なし、原油処理量の数%として概算のみ。追えないのは精製ゲインのみだが、3つとも原油の物質収支に毎月きれいに足し込むのは困難。これが需要軸(積上)を主軸にした実務上の理由。

H ─ 次の更新トリガー